事業再生
資金繰りや収益性の悪化にお悩みの経営者様へ
中小企業金融円滑化法の終了
中小企業金融円滑化法は2回の延長の末、平成24年度末で終了しましたが、金融機関は引き続き返済条件の変更に応じることとされています。右図のように円滑化法終了後初年度となる平成25年度においても、110万件を超える申し込みがあり、そのほとんどについて実行されています。
今後、金融機関が対応を厳しくすることも考えられますが、現状では多くの会社が金融支援を受けており、比較的、金融支援を受けやすい状況にあると考えられます。
事業再生プロセス
事業再生に当たり、まず重要なことは、会社に再生する力があるかどうかを見極めることです。再生が困難な場合は、原則として、破産手続あるいは特別清算手続といった清算型の法的整理を選択する必要があります。収益性に回復の見込みがあり、再生する力が認められる場合には、民事再生手続や会社更生手続といった再建型法的整理や、私的整理により経営再建を図っていきます。
会社に再生する力があるかどうかについて判断するためには、会社の実態を正確に見極める必要があります。そのため、経営者との面談、財務資料及び経営資料等の分析を通じて、当面の資金繰りに対する問題の有無、直面している問題、困窮状態に陥った要因について把握していきます。その後、事業デューデリジェンス、財務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス等を実施し、再生の可能性及び再生の方向性を検討します。
事業デューデリジェンスでは、業界分析、市場分析等を通じて会社又は事業の外部環境を把握し、ビジネスモデルや有する経営資源等の分析を通じて内部環境やコア事業を把握することで、実現可能な再生計画の方向性を検討します。
財務デューデリジェンスにおいては、資産は適切に評価されているか、架空資産は計上されていないか、簿外債務はないか等の観点から財務諸表を調査し、実態財務諸表を作成することで、金融支援実施予定額や計画数値の策定基礎として利用します。
各デューデリジェンスの結果に基づき、経営改善策を実行するための詳細なアクションプランを決定し、当該改善策を将来の数値に落とし込んだ経営改善計画を策定します。事業再生における経営改善計画では、一般的に金融機関からの金融支援が含まれているため、計画は実現可能性が高いものでなければならず、経営者は策定した計画に対して責任を果たす必要があります。
また、再生計画を予定通りに進めるためには、計画と実績の間に重要な乖離が生じないよう、常時モニタリングし、必要がある場合には適時に経営改善計画を修正することが大切です。なお、経営改善計画の修正は慎重に行う必要があり、金融機関に経営改善が不可能と判断されてしまうと、最悪の場合は借入金の返済を迫られ、経営改善計画が実行できない状況に陥る可能性があります。
私たちは、金融機関への会計監査の経験が豊富なメンバーを有しており、金融機関へ金融支援を依頼する際には、金融機関の目線から支援可能性を検討し、アドバイスすることができます。
冒頭の作業フローに記載の通り、経営課題の把握から、経営改善計画の策定、金融機関との調整、モニタリングまでの事業再生におけるすべてのフェーズに対して一貫したサポートを実施することで、会社の財務体質や収益性の改善を目指し、資金繰りを安定させ、経営危機から早期脱却できるように全力でサポートします。
事業再生の成功要因
- ビジネスモデルの改善
- 単に借入金の条件変更や債務免除等の金融支援を受けたところで、数年間の延命措置に過ぎません
- 経営危機を脱するためには、事業の徹底的な見直しを行い、継続的に事業活動を行うことができるビジネスモデルへと再構築する必要があります
- 専門家の関与
- 経営改善計画は、収益性、資金繰り、財務体質の改善が見込まれる実現可能性の高いもので、かつ、金融機関が納得できるものでなければなりません
- 再生スキームとして再生型M&Aを用いる場合には、事業価値を算定する必要があります
- 各ステークホルダー間の利害を調整しつつ、複雑な手続を円滑に遂行するには専門家の関与が不可欠です
- 早期着手
- 現状認識の誤り、あるいは事業再生に取り組む決断が遅れたため、再生の道が閉ざされてしまうケースが数多くあります
- 病気と同様、手遅れになる前に専門家に相談することが重要です
- 粘り強い交渉
- 事業再生は、ステークホルダーの合意を得て再生手続を進めていくため、個々のステークホルダーを説得し、合意を取り付ける必要があります
- そのためには、相手の要望に出来る限り応じつつも、こちらの要望を理解してもらうために粘り強い交渉力が必要です
中小企業活性化協議会
企業が事業再生を行う場合、各都道府県の中小企業活性化協議会(旧中小企業再生支援協議会)に協力を要請する方法もあります。
中小企業活性化協議会は、産業活力再生特別措置法に基づき、中小企業の事業再生の取組を支援するために設置された公的機関です。最初の段階の窓口面談は無料で受けられますが、その次の段階の再生計画策定支援に進むことができるのは再生可能性が相当に高い会社に限られており、狭き門となっています。また、数十万円から数百万円程度の費用負担も発生します。再生可能性に不安があり、中小企業活性化協議会からの協力を得られるかどうかわからない場合等には、一度私たちにご相談ください。